iPhoneからiPhoneへのデータ移行には、2台を並べて直接移す方法、クラウドのバックアップから復元する方法、パソコンから復元する方法の3つがあります。選ぶ基準は単純で、旧端末が手元にあって正常に動くなら直接移す、手元にないか壊れているならバックアップから復元する。この判断さえつけば、あとは手順に従うだけです。
この記事では、3つの方法を比較して選び方を整理したうえで、移行できるデータとできないデータ、移行前にやること、移行後に確認することをまとめます。うまくいかないときの逃げ道と、旧端末の扱いにも触れました。
3つの移行方法の比較と選び方
方法選びで迷う必要はほとんどありません。条件が方法を決めてくれるからです。まずは3つを並べて、自分の状況に当てはまるものを見つけてください。
| 方法 | 必要なもの | 向いている状況 | 弱点 |
|---|---|---|---|
| 2台を並べて直接移す | 旧端末と新端末、安定した通信 | 旧端末が手元にあり、正常に動く | 移行中は2台とも使えない |
| クラウドから復元 | 事前のバックアップ、通信環境 | 旧端末が手元にない、壊れている | 保存容量が足りないと使えない |
| パソコンから復元 | パソコン、ケーブル、事前のバックアップ | データ量が多い、通信が不安定 | パソコンが必要 |
迷ったときの判断はこうです。旧端末が動くなら1番、動かないなら2番か3番。2番と3番の分かれ目は、通信環境とデータ量です。写真や動画が多い人ほど、ケーブルでつなぐ3番が安定します。
ただし、どの方法を選んでも事前のバックアップは取っておいてください。1番を選ぶ場合でも同じです。移行が途中で失敗したとき、バックアップがなければ打つ手がなくなります。
2台を並べて直接移す
いちばん手数が少ない方法です。新しい端末の「こんにちは」の画面から始め、旧端末を隣に置くだけで案内が始まります。パソコンも事前のバックアップも要りません。
- 新端末の電源を入れ、「こんにちは」の画面を出す
- 旧端末を隣に置くと、設定を引き継ぐ案内が旧端末に表示される
- 新端末に出た模様を旧端末のカメラで読み取る
- 案内に従って転送を開始し、完了まで2台を近くに置いたまま待つ
注意点は3つあります。新端末が初期設定を済ませていないこと、両方を電源につないでおくこと、時間に余裕をとること。特に1つ目は見落とされやすく、店頭で設定を済ませてしまった端末ではこの方法が使えません。その場合は初期化してやり直す必要があります。
この方法の詳しい手順と注意点はiPhone機種変更でクイックスタートを活用する際の注意点にまとめています。
クラウドのバックアップから復元する
旧端末が手元にない場合の本命がこれです。旧端末を紛失した、水没した、すでに下取りに出したという状況でも、バックアップさえ残っていれば復元できます。
| 手順 | やること | つまずきどころ |
|---|---|---|
| 1. 事前に | 旧端末でバックアップを実行しておく | 保存容量が足りないと完了しない |
| 2. 新端末で | 初期設定を進め、バックアップから復元を選ぶ | 初期設定を済ませていると選べない |
| 3. 選ぶ | 復元したいバックアップを日付で選ぶ | 古い日付を選ぶと最近のデータが入らない |
| 4. 待つ | 通信につないだまま完了を待つ | 写真は後からゆっくり読み込まれる |
この方法で最も多い詰まり方が、保存容量の不足です。無料で使える容量は限られており、写真が多いとすぐに足りなくなります。一時的に容量を追加してバックアップを取り、移行が終わったら元に戻すという使い方もできます。容量の考え方はiCloudストレージを購入すべきかで整理しました。
もうひとつの注意点は、復元が終わっても写真の読み込みは続いていることです。枚数が合わないと感じても、しばらく通信につないだまま置いておくと揃うことがあります。
パソコンから復元する
3つのなかで最も安定するのがこの方法です。ケーブルでつなぐため通信環境に左右されず、保存容量の制限も受けません。データ量が多い人ほど恩恵があります。
- 容量の制限がない:パソコンの空き容量が許す限り保存できる
- 速度が安定する:ケーブル接続なので途中で切れにくい
- 暗号化を選べる:暗号化を有効にすると、保存される情報の範囲が広がる
- 手元に控えが残る:パソコン側にバックアップが残るので、後から使える
ここで押さえておきたいのが暗号化の設定です。暗号化を有効にしてバックアップを取ると、保存される項目が増えます。ただしパスワードを忘れると復元できなくなるため、控えを必ず残してください。この点は取り返しがつきません。
手順の詳細や、クラウドとの使い分けはiPhoneバックアップはパソコンとiCloudどっちで解説しています。バックアップから手動で設定を移す方法についてはiPhone引き継ぎはクイックスタート以外もできるもあわせて参考になります。
移行できるデータ・できないデータ
「移行したのに使えない」という戸惑いの原因はここにあります。端末のデータが移っても、別途の手続きが必要なものが残ります。移行前に把握しておくと慌てずに済みます。
| 分類 | 例 | 扱い |
|---|---|---|
| 自動で移るもの | 写真、連絡先、メッセージ、アプリの一覧、設定の多く | 移行の操作だけで引き継がれる |
| 再設定が必要なもの | 指紋や顔での認証の登録情報 | 端末ごとの情報のため、新端末で登録し直す |
| 個別の手続きが必要なもの | 電子マネー、決済系、二段階認証アプリ | サービスごとの移行手続きを踏む |
| アプリ側の対応が必要なもの | 一部のアプリのログイン状態や進行状況 | アプリ内の引き継ぎ設定を旧端末で済ませる |
| 別の手続きになるもの | 通信の契約 | 端末データの移行とは別に、契約側の手続きが要る |
とりわけ二段階認証アプリの移行漏れは、被害が広い割に気づかれにくい項目です。これを失うと、認証を必要とする他のサービスまでログインできなくなります。移行前に、どのサービスで使っているかを書き出しておくのが安全です。
移行前にやること
準備が済んでいれば、移行そのものは待つだけの作業になります。逆に、ここを飛ばすと当日に詰まります。
- バックアップを取る:どの方法を選ぶ場合でも保険として必要
- アプリの引き継ぎ設定を済ませる:旧端末でしかできないものが多い
- 電子マネーの残高を預ける:サービス側の手続きを踏む
- 新端末の空き容量を確認する:旧端末より小さいと全部は入らない
- 時間と電源を確保する:両方を電源につなぎ、余裕のある時間に始める
4番目は見落とされがちです。128ギガの端末から64ギガの端末へ、中身をそのまま移すことはできません。容量を下げる買い替えをする場合は、先に旧端末側でデータを減らしておく必要があります。移行前後の作業全体はiPhone機種変更でやることにまとめました。
移行後に確認すること
移行が終わっても、旧端末をすぐに消してはいけません。抜けに気づけるのは、旧端末が手元にあるうちだけです。次の5点を確認してから初期化してください。
- 写真と動画の枚数:新旧で数が合っているか。読み込み中なら完了を待つ
- 連絡先の件数:件数が大きく減っていないか
- メッセージの履歴:さかのぼって表示できるか
- 主要なアプリのログイン:認証を求められるものを一通り通しておく
- 電子マネーの残高:受け取りが完了しているか
確認が済んだら、旧端末の初期化に進みます。初期化の前に、探す機能をオフにしてアカウントからサインアウトするのを忘れないでください。この順番を守らないとロックが残り、売却や譲渡ができなくなります。初期化が完了したかどうかの見分け方はiPhoneを初期化して「こんにちは」の画面を表示させる方法で解説しています。
失敗するとき・Androidへ移る場合
ここまでの手順で進まない場合や、移行先がiPhoneでない場合は、扱いが変わります。状況に応じた記事へ進んでください。
| 状況 | 起きること | 進み先 |
|---|---|---|
| 特定の画面で止まる | 検索中や転送中から進まない | 画面別の原因と対処を確認する |
| 移行先がAndroid | 手順も移せるデータもまったく異なる | Androidへの移行手順を確認する |
| 旧端末が起動しない | 直接移す方法が使えない | バックアップからの復元に切り替える |
画面ごとに止まる原因が違うため、止まっている画面の名前が最大の手がかりになります。詳しくはiPhoneのデータ移行が進まないときの画面別対処にまとめました。iPhoneからAndroidへ移る場合は、移せるデータの範囲も含めて事情が変わるため、iPhoneからAndroidへのデータ移行と困ることを先に確認してください。逆にAndroidからiPhoneへ移る場合はAndroidからiPhoneへのデータ移行が該当します。
移行を終えた旧iPhoneの買取
移行と確認が済んだら、旧端末の出番は終わりです。ここから先は、置いておくほど価値が下がっていきます。スマホの相場は新しい機種が出るたびに下がるため、移行を終えた直後がいちばん高く手放せるタイミングになります。
データ移行が終わったあと、旧端末を引き出しにしまい込んだまま半年、一年と経ってからお持ちになる方が多くいらっしゃいます。その間に新機種が出ていると、査定額は確実に下がっています。移行と確認が済んだ時点でご相談いただくのが、いちばん損の少ない進め方です。お預かりの際は、探す機能をオフにし、アカウントからサインアウトしたうえで初期化までお願いしています。この順番が逆になるとロックが残り、減額かお引き取りをお断りすることになります。付属品の箱や充電器が残っていれば、あわせてお持ちください。
使わなくなったiPhoneはiPhoneの買取査定に出せば、次の端末代の足しになります。買い替え先を中古で探すなら中古iPhoneの在庫一覧から状態と価格を見比べられます。売る前の注意点はスマホ売却の危険性と安全な手放し方にまとめました。
まとめ|旧端末が動くかで決まる
iPhoneからiPhoneへのデータ移行は、2台を並べて直接移す方法、クラウドのバックアップから復元する方法、パソコンから復元する方法の3つです。選び方は単純で、旧端末が手元にあって正常に動くなら直接移す方法、動かないか手元にないならバックアップからの復元になります。後者のうち、データ量が多い場合や通信が不安定な場合はパソコン経由が安定します。
どの方法でも、事前のバックアップは保険として取っておいてください。移行しても指紋や顔での認証、電子マネー、二段階認証アプリは別途の手続きが必要です。移行後は写真の枚数、連絡先の件数、メッセージの履歴、アプリのログイン、残高を確認してから旧端末を初期化しましょう。そのとき、探す機能をオフにしてサインアウトしてから初期化する順番を守ってください。そして旧端末は、移行を終えた直後が最も高く手放せるタイミングです。
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データ移行に関するよくある質問(FAQ)
iPhoneのデータ移行はどの方法を選べばいいですか?
旧端末が手元にあり正常に動くなら、2台を並べて直接移す方法が最も手数が少なく済みます。旧端末が手元にない、または壊れている場合はバックアップからの復元になります。バックアップからの復元は、データ量が多い場合や通信が不安定な場合はパソコン経由、手軽さを優先するならクラウド経由が向いています。
クイックスタート以外のデータ移行方法はありますか?
あります。クラウドのバックアップから復元する方法と、パソコンのバックアップから復元する方法の2つです。どちらも旧端末が手元になくても使えます。パソコン経由はケーブルでつなぐため通信環境に左右されず、保存容量の制限も受けないため、写真や動画が多い場合に向いています。
データ移行で移らないものはありますか?
指紋や顔での認証の登録情報は端末ごとの情報のため、新端末で登録し直す必要があります。電子マネーや決済系、二段階認証アプリはサービスごとの移行手続きが必要です。一部のアプリはログイン状態や進行状況の引き継ぎを旧端末で済ませておく必要があります。通信の契約も端末データの移行とは別の手続きになります。
容量の小さいiPhoneに買い替える場合も全部移せますか?
移せません。旧端末の使用量が新端末の容量を超えていると、途中で完了できなくなります。容量を下げる買い替えをする場合は、先に旧端末側で不要なデータを減らしてから移行してください。あるいは、写真や動画を後から個別に移す前提で進めることになります。
移行が終わったら旧iPhoneはすぐ初期化していいですか?
すぐには初期化しないでください。写真と動画の枚数、連絡先の件数、メッセージの履歴、主要なアプリのログイン、電子マネーの残高の5点を新端末で確認してからにしてください。抜けに気づけるのは旧端末が手元にあるうちだけです。初期化するときは、探す機能をオフにしてアカウントからサインアウトしてから実行してください。
バックアップは必ず取ったほうがいいですか?
どの方法を選ぶ場合でも取っておいてください。2台を並べて直接移す方法ではバックアップがなくても移行できますが、途中で失敗したときに戻す手段がなくなります。保険として取っておけば、うまくいかないときにバックアップからの復元へ切り替えられます。
移行を終えた旧iPhoneはいつ売るのがいいですか?
移行と確認が済んだ直後が最も高く手放せるタイミングです。スマホの相場は新しい機種が出るたびに下がるため、引き出しにしまっている間に査定額が下がっていきます。売る前は探す機能をオフにし、サインアウトしてから初期化してください。箱や充電器などの付属品が残っていれば、あわせて出すと評価が上がります。
最終更新:(リンクサスモバイル 今井一輝 監修)。画面の表記や手順はiOSのバージョンにより異なる場合があります。

