格安SIMとは、大手キャリアから通信ネットワークを借りて、低価格でサービスを提供している事業者のSIMのことです〔総務省〕。自前で基地局を建てないぶん、設備投資や店舗の費用がかからず、その差が月額に反映されます。安い理由は「企業努力」ではなく、仕組みそのものにあります。ただしこの仕組みは、混雑時間帯に速度が落ちやすい理由でもあります。
この記事では、格安SIMの定義、なぜ安いのかという仕組み、混同されやすい「格安スマホ」との違い、大手キャリアとの違い、メリットとデメリット、始め方までを整理しました。あわせて、乗り換えに使う端末の選び方もまとめています。
格安SIMとは【早見表】
格安SIMは、正式にはMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる事業者が提供するSIMを指します。総務省は、MVNOを「通信設備を持つ会社から、ネットワークを借りて携帯電話サービスを提供している」事業者と説明しています〔総務省 携帯電話ポータルサイト「格安スマホ/格安SIMってなに?」〕。まず全体像を押さえましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式な呼び方 | MVNO(仮想移動体通信事業者)が提供するSIM |
| 仕組み | 大手キャリアからネットワークを借りて提供する |
| 安い理由 | 自前の設備投資・店舗・広告の費用がかからない |
| 電波の届く範囲 | 借りている大手キャリアの範囲と同じ |
| 弱点 | 混雑する時間帯に速度が落ちる場合がある |
| 電話番号 | 今の番号のまま乗り換えられる |
ここで多くの人が意外に思うのが「電波の届く範囲は大手と同じ」という点です。借りているネットワークそのものは大手のものだからです。「格安SIMは電波が悪い」のではなく「混雑時に遅くなることがある」。この2つはまったく別の話で、混同すると判断を誤ります。
格安SIMはなぜ安いのか
安さの理由は、企業努力や薄利多売ではありません。そもそも自前の設備を持たないという、事業の構造そのものにあります。総務省も、MVNOは大手からネットワークを借りることで「低価格のサービスや多様なサービスを実現している」と説明しています。
| かからない費用 | なぜかからないか |
|---|---|
| 基地局などの設備投資 | 大手のネットワークを借りて使うため |
| 店舗の運営費 | オンライン中心で運営する事業者が多いため |
| 大規模な広告費 | 全国的な宣伝を打たない事業者が多いため |
| 使わない大容量プランの余剰 | 小容量から選べるプラン設計のため |
安い理由が、そのまま弱点になる
ここが格安SIMを理解する肝です。大手から「回線の一部」を借りている以上、借りている帯域が混めば速度は落ちます。総務省も、お昼休みや通勤時間帯、夜間など通信が混み合う時間帯にはデータ通信速度が低下する場合があると注意を促しています。
つまり安さと速度低下は、同じ仕組みから生まれた表と裏です。「安いのに速い」を期待すると裏切られますが、「なぜ安いか」を知っていれば納得して選べます。逆にいえば、速度低下が起きる時間帯に大容量通信をしない人にとって、この弱点はほぼ無害です。
格安SIMと格安スマホの違い
この2つは、日常会話ではほぼ同じ意味で使われますが、厳密には指しているものが違います。用語を整理しておくと、料金プランを比べるときに迷いません。
| 言葉 | 指しているもの | 具体例 |
|---|---|---|
| 格安SIM | 回線(通信サービス)そのもの | MVNOと契約して受け取るSIMカードやeSIM |
| 格安スマホ | 端末、または「端末+格安SIM」のセット | 格安SIMとセットで売られる本体 |
| SIMフリースマホ | どの会社のSIMでも使える端末 | ロックのかかっていない本体 |
覚え方はシンプルです。SIMは「回線」、スマホは「端末」。この2つは分けて選べます。今使っている端末をそのまま使い、回線だけを格安SIMに替えることもできる。端末と回線を切り離して選べることこそ、格安SIM最大の利点といえます。
なお、SIMフリーという言葉に関わるSIMロックの仕組みはSIMロック解除とはで解説しています。
大手キャリアとの違い
「大手か格安か」の二択で考えると、話がこじれます。実際にはサブブランドという中間の選択肢があり、速度とサポートを保ちながら料金を下げたい人の受け皿になっています。
| 項目 | 大手キャリア(MNO) | サブブランド | 格安SIM(MVNO) |
|---|---|---|---|
| 設備 | 自社で整備する | 大手の設備を使う | 大手から借りる |
| 混雑時の速度 | 安定しやすい | 安定しやすい | 落ちやすい |
| 店舗サポート | 手厚い | 店舗ありの場合が多い | オンライン中心 |
| 月額の水準 | 高い | 中間 | 安い |
| プランの細かさ | 大容量中心 | 中容量中心 | 小容量から選べる |
大手キャリアはMNOと呼ばれ、自社でネットワークを整備している点がMVNOとの決定的な違いです。設備を自前で持つぶんコストがかかり、それが月額に乗ります。裏返せば、そのコストは混雑時の安定性として返ってくる。どちらが優れているかではなく、何にお金を払うかの違いです。
格安SIMのメリット・デメリット
ここまでの仕組みが分かっていれば、メリットもデメリットも自然に導けます。どちらも「設備を借りている」という一点から生まれています。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 月額料金が下がる | 混雑時間帯に速度が落ちる場合がある |
| 小容量から選べ、使い方に合わせられる | 店舗サポートが少ない |
| 端末と回線を切り離して選べる | キャリアメールは持ち運びに別途料金がかかる |
| 契約の縛りが少ない事業者が多い | 初期設定を自分で行う |
| 電波の届く範囲は大手と同じ | 支払い方法が限られる場合がある |
デメリットのうち、仕組み上どうにもならないのは1行目の速度だけです。残りはオプションや事前準備で回避できる範囲に収まります。「やめとけ」と言われる理由を詳しく知りたい場合は格安スマホやめとけは本当?後悔する人の特徴と7つのデメリットで、後悔する人・しない人の条件まで整理しました。
速度が不安なら、通話は大手・データは格安といった使い分けもできます。方法はデュアルSIMのメリット・デメリットにまとめています。SIMカードを挿さないeSIMという選択肢はeSIMとは?SIMカードとどっちがいい?をご覧いただけます。
格安SIMの始め方
手続きは思っているより単純です。今の電話番号のまま乗り換えられます。順に進めれば迷いません。
- ①直近3ヶ月のデータ使用量を調べる:契約中の会社のアプリやマイページで確認でき、必要な容量が判明する
- ②端末をそのまま使うか決める:使うならSIMロックの状態と対応バンドを確認する
- ③乗り換え先を選ぶ:混雑時間帯の実測情報と、オプション込みの総額で比べる
- ④番号の引き継ぎ手続きをする:今の番号を使い続ける場合に必要になる
- ⑤SIMを差し替え、初期設定をする:APN設定を行うと通信できるようになる
②が最初の関門です。2021年10月以降に発売された端末は、総務省がSIMロックを原則禁止としているため、そもそも解除の手続きが不要な場合があります。それ以前の端末は解除が必要なことがあり、手順はSIMロック解除を自分でやる方法にまとめました。SIMの差し替え自体はSIMカードの取り出し方で解説しています。
比べるべきは月額の最安値ではなく、オプション込みの実質総額です。通話が多いならかけ放題を足した金額で、キャリアメールが必要なら持ち運びの月額を足した金額で比較しないと、乗り換えてから「思ったより下がらない」ということが起こります。
端末はどうするか
格安SIMは端末と回線を切り離せるため、端末の選択肢は3つあります。どれを選んでも、回線側の料金は変わりません。
| 選択肢 | 向いている人 | 確認すること |
|---|---|---|
| 今の端末をそのまま使う | 費用を最も抑えたい | SIMロックの状態と対応バンド |
| 中古のSIMフリー端末を買う | 費用を抑えつつ機種を替えたい | 利用制限の判定とバッテリーの状態 |
| セット販売の端末を買う | 手続きをまとめて済ませたい | 端末代の総額と契約条件 |
費用を抑えるなら、中古のSIMフリー端末と格安SIMの組み合わせが最も効きます。回線代と端末代の両方を下げられるためです。端末の選び方はSIMフリースマホの選び方、価格重視ならコスパ重視のSIMフリースマホで整理しています。
格安SIMへの乗り換えをご検討中の方から、「今の端末は使えますか」というご相談をよくいただきます。確認するのはSIMロックの状態と対応バンドの2点だけです。比較的新しい端末なら、そもそもロックがかかっていないことも増えました。そして乗り換えで使わなくなった端末は、買取に出せば次の端末代の足しになります。引き出しに眠らせておくと、新機種が出るたびに相場が下がっていきますので、使わないと決めたら早めの査定がおすすめです。売却前は必ずバックアップとデータの初期化をお願いしています。
実機はSIMフリースマホの在庫一覧から探せます。使わない端末の査定はスマホ買取から相談できます。
まとめ|仕組みが分かれば判断できる
格安SIMとは、大手キャリアからネットワークを借りて低価格でサービスを提供する事業者(MVNO)のSIMです。安いのは企業努力ではなく、自前の設備を持たないという構造によるもの。基地局の投資も店舗の運営費も大規模な広告費もかからないため、その差が月額に反映されます。電波の届く範囲は借りている大手と同じです。
ただし回線の一部を借りている以上、昼休みや通勤時間帯など混み合う時間には速度が落ちる場合があります。安さと速度低下は同じ仕組みの表と裏です。逆にいえば、その時間帯に大容量通信をしない人にとって弱点はほぼ無害になります。SIMは回線、スマホは端末を指し、2つは切り離して選べます。中古のSIMフリー端末と組み合わせれば、回線代と端末代の両方を下げられます。乗り換えで余った端末は、リンクサスモバイルにご相談ください。
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格安SIMに関するよくある質問(FAQ)
格安SIMとは何ですか?
大手キャリアから通信ネットワークを借りて、低価格でサービスを提供している事業者のSIMのことです。正式にはMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれます。総務省は、MVNOを「通信設備を持つ会社から、ネットワークを借りて携帯電話サービスを提供している」事業者と説明しています。借りているネットワークは大手のものなので、電波の届く範囲は大手キャリアと同じです。
格安SIMはなぜ安いのですか?
自前の設備を持たないという事業の構造によるものです。大手のネットワークを借りて使うため基地局などの設備投資がかからず、オンライン中心の運営で店舗の運営費や大規模な広告費もかかりません。加えて小容量から選べるプラン設計のため、使わない大容量分の余剰が発生しません。総務省も、MVNOは大手からネットワークを借りることで低価格のサービスを実現していると説明しています。
格安SIMと格安スマホの違いは何ですか?
格安SIMは回線(通信サービス)そのものを指し、格安スマホは端末、または端末と格安SIMのセットを指します。つまりSIMは「回線」、スマホは「端末」です。この2つは分けて選べるため、今使っている端末をそのまま使い、回線だけを格安SIMに替えることもできます。なおSIMフリースマホは、どの会社のSIMでも使える端末のことです。
格安SIMは電波が悪いのですか?
電波の届く範囲は、借りている大手キャリアと同じです。「電波が悪い」のではなく「混雑する時間帯に速度が落ちる場合がある」というのが正確な理解です。総務省も、お昼休みや通勤時間帯、夜間など通信が混み合う時間帯にはデータ通信速度が低下する場合があると案内しています。この2つはまったく別の話で、混同すると判断を誤ります。
格安SIMに乗り換えても電話番号はそのままですか?
今の電話番号のまま乗り換えられます。番号の引き継ぎ手続きを行えば、番号は変わりません。乗り換えの流れは、①直近3ヶ月のデータ使用量を調べる、②端末をそのまま使うか決める、③乗り換え先を選ぶ、④番号の引き継ぎ手続きをする、⑤SIMを差し替えて初期設定をする、の5ステップです。
今使っているスマホをそのまま格安SIMで使えますか?
SIMロックの状態と対応バンドの2点を確認すれば、そのまま使える場合があります。総務省は2021年10月以降に発売されたスマートフォンについてSIMロックを原則禁止としているため、比較的新しい端末なら解除の手続き自体が不要な場合があります。それ以前の端末は解除が必要なことがあります。なお費用を最も抑えたいなら、中古のSIMフリー端末と格安SIMを組み合わせると、回線代と端末代の両方を下げられます。
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